物流代行とは?その種類と業界の最新情報、委託業者の選び方まで解説

現在、ビジネスにおいて発生するさまざまな業務について、自社で対応するのではなく外部に委託することが増えています。物流業務についても、その業務を外部に委託することは一般的ですが、ネット上ではさまざまな呼び方や情報・解説があり、どう違うのか、どれが正しいのかもよくわからない状況です。
このため今回は物流業務の外部委託の内容とサービスの種類を整理し、どのように使い分ければ良いか、最新のサービスはどのようなものなのかを比較し解説、メリット、デメリット、使い方を解説いたします。

物流代行とは?その種類と内容

最近、インターネット検索をかけると「物流代行」というキーワードがよく出てきます。ネット通販(EC)が普及してからよく見かけるようになったキーワードですが、以前は外部委託といえば「アウトソーシング」という言葉が一般的でした。また最近は「フルフィルメント」という言葉もよく見かけます。これらはいったいどんな違いがあるのでしょうか?

以下のような違いがあることがわかりました。

物流業務は会社の成長とともに取扱量が増え注文の変動が激しくなり、作業の手配が難しくなったとき、最初は自分たちで取り組んだものの、結果自分たちで行うよりプロにまかせたほうが効率良く、コストも安いということが見積りを取ってからわかり、依頼するケースが多いようです。

これは世界的にも同様で、出典は古いですが物流をプロにまかせた時と、自社で運営したときの効果を比較調査したデータがあります。

物流をプロにまかせると、倉庫や設備などを物流会社が準備してくれて初期投資を抑えられたり、作業効率も良くコストを下げられるのがメリットです。欠品を減らしながら在庫回転率も上がるなど、質の向上効果もかなり高いものがあります。
このようにかなり以前から物流の外部委託の効果は知られていましたが、近年は受託業務をよりニーズのあるものに特化した形でサービスを作り込み、他の付加価値とあわせて提供する会社が増えてきました。そしてサービス提供者は物流事業者だけでなく、ECモール運営者やシステムベンダー、人材派遣会社など異業種であることも多くなっています。これら異業種による、ニーズに特化した形での物流サービス提供を行う会社が自らのサービスを「物流代行」と呼んで宣伝をしているのが実態のようです。

物流代行の最新の動き

物流代行会社では、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。多くのサービスがありますが、大別すると次のような特長があります。

1.売り方に特化

定期通販など、繰り返し購入が見込まれる商品について販売を行うものです。販売する商品数は少ないのですが、キャンペーン特典や、継続購入のお礼品など長く購入してもらうためのきめ細やかな商品以外の同梱品の封入があるのが特長です。また返品や停止、再開処理など、お客様の動きに応じた対応が必要となります。

2.売るものに特化

医薬品や化粧品など、保管、管理するために資格を持つ人員の常駐が必要だったり、アパレルや試供品など、販売するために専門知識や細かな情報が必要な商品、世の中の流行への感度などが必要な商品を販売する場合は、販売波動対応やきめ細やかな在庫管理が必要になります。

3.売りどきに特化

株主優待品、ふるさと納税の返礼品、結婚式の引出物や出産時の内祝い、母の日、父の日などの「物日(ものび)」に対応するため、ギフト包装や冷凍・冷蔵品を扱うための温度帯対応など、商品を適切に保管するための施設・設備や、高い物量波動に耐えられるスペースの確保、人員体制などが必要となります。

4.売り場に特化

特定のECモールで、ライバルよりたくさん販売するためにマーケティングと連動した物流サービスを提供するサービスを「フルフィルメント」と言います。物流だけでなく決済やカスタマーサポートにも対応しているのが特長です。ECモール内での売れ行きに機敏に対応できる商品供給体制ときめ細やかな在庫管理が必要となります。

いずれの代行サービスも「物流+α」のサービスを組み合わせて、出店者の売る力を高めるためのサポート部分に特化しているのが特長であり、物流代行といいながら物流会社ではない異業種の会社がサービスを提供している理由がここにあります。
物流代行サービスの中でも特に新規サービスのリリースが多いのがECモール各社が提供するフルフィルメントサービスであり、頻繁な新規サービス投入・更改がなされています。
いずれのECサイトもお客様の買いやすさを高めるために、物流品質の高い出店者に認証を与えて、マーケティング上のメリットを提供しています。

※1在庫パフォーマンス基準(IPI)
①FBA在庫中の余剰在庫の割合、②FBA販売率、③有効な出品情報がないFBA在庫④欠品の有無、の4つの指標によって導き出されるAmazon独自の在庫基準。0~1000のゲージがあり、400以上が健全。

※2店舗と商品の認定基準
店舗基準:①納期遵守率96%以上、②6日以内のお届け件数比率80%以上、③出荷件数100件/月以上、④共通の送料込みライン(39ショップ)の導入
商品基準:①午前の注文について365日いつでも「翌日お届け」指定可、②午後の注文について365日いつでも「翌々日お届け」指定可

利用前のチェックポイント

このように物流代行サービスは日々進化していますが、選び方を間違えると商品が売れてもまったく利益が残らない場合もあり、サービスを利用する前に十分な理解と比較検討が必要です。以下にサービスを利用する際の注意点をお伝えします。

1.サポート体制

物流代行サービスは多数の機能が高度に連携しているサービスのため、うまく活用するためには学習と理解が必要です。サービス運営者の中には質問をしてもマニュアルのリンクをメールで送られ終了。といった対応をする会社もあるため、実際に利用している出店者のブログを確認するなどの情報収集をしてから検討することが良いでしょう。コンシェルジュが説明してくれるサービスなどは安心感があります。

2.課金体系

物流代行サービスは基本「ひとついくら」で利用する定額のサービスです。このため、一つひとつは安く見えても、月末に清算したらびっくり価格になっていた、というケースも多々あるため、課金体系についてはよく確認する必要があります。
フルフィルメントサービスの多くは「コストシミュレーター」という事前にかかる費用を試算できるサービスがあるので活用しましょう。

3.準備手続き

サービスの利用開始には想像以上に時間がかかります。販売商品の納期は注意しましょう。サービスを申し込んだものの、なかなか承認が下りず、注文した商品が先に到着するというケースもあり得ます。また、フルフィルメントサービスの大半はセンターに商品を入れる場合に「出荷状態で入庫すること(SKUごとに小分けして送り込むこと)」など指定してきます。注文を受けて販売する時はスムーズでも、最初の準備段階で手間がすべて依頼側にかかるため、商品の送り込み条件の確認はよくしておきましょう。

4.優遇サービスの認証基準

フルフィルメントサービスでは、ほぼすべて各社が独自の品質基準を持っています。これらの基準をクリアしていれば検索順位も上がり販売数も伸びるのですが、ひとたび欠品を起こしたりして条件を満たせなくなると速やかに認証は外され、検索順位は下がり売上は停滞する、といった悪循環が起こり、費用が大幅に増えるケースがあります。高い効果を維持するためにはかなり緻密な販売管理が必要とされるため、利用したいサービスの条件に耐えられるのか確認は重要となります。

5.品質管理

代行会社に作業を委託した場合は、システムと連動しているためパッケージの変更や入数調整など、一旦登録した内容を変更することはできなくなります。
また手元に商品がない状態となるため、商品の売行きを見ながら見せ方や売り方、パッケージを工夫する、といった対応が出来ません。色々売り方を試したい場合に対応してもらえるのかなど、代行会社の対応範囲を確認しておくことをお勧めします。

委託業者の選び方

物流代行を選ぶタイミングはこれからビジネスを開始する時か、注文が大幅に増えて現在の体制では対応できなくなったときになると思います。
これから開始する時は取扱物量も少なく、やることすべてがわからない状況のため、ECモールのフルフィルメントサービスは心強い味方になるでしょう。特にマーケティング連動と決済機能は購入するお客様の信頼感が上がります。
成長過程にある場合は、取扱SKU数が多くなると、販促活動と在庫処分を継続的に行う必要があり、運営が格段に難しくなります。このようなタイミングで、売るもの(商品)や売り先(業界)の専門知識を持つ物流代行業者は良い選択となり得ます。

では、リピート通販のような売り方や、ふるさと納税のような売りどきが限られるような場合はどうでしょうか。コメントや評価を聞きながら売り方を工夫したり、出荷需要が集中するような場合は、同じだけの入荷・保管のスペースが必要となるため、時間の経過とともに作業の配分が変化するような場合やコストを安くしたい場合などは個々の作業の組み合わせを柔軟に出来るため、物流会社へのアウトソーシングの融通が利きやすいです。

まとめ

物流代行サービスは活用するタイミングと、売る物、売り方、売りどき、売り場を考慮して選択すれば販売数を効率的に伸ばすことができます。検討の際になにをどうやって任せたらいいのかはっきりと決めきれない場合は、まずはEC物流に対応している物流会社に問い合わせてみるといいでしょう。

物流会社を活用する場合、出店する売り場に対応した業務システムを持っているかが重要になります。ダイワコーポレーションはEC購入者の4割強が住む首都圏に倉庫を展開しており、配送コストを合理的に抑えつつ、プロによる商品管理と、ECモール、自社サイトいずれにも対応した業務システムを活用し、サービスを提供しています。
物流代行サービスをお探しの企業様はお気軽にお問合せください。

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