シェアリングエコノミーとは?ビジネスモデル・メリットを解説
シェアリングエコノミーとは、個人や企業が保有する資産やスキルなどを他者と共有し、収益を生み出すビジネスモデルです。近年その活用範囲が拡大しており、今後さらなる成長が期待されています。
この記事では、シェアリングエコノミーの概要、その多様なビジネスモデル、メリット、留意点について解説します。
目次
シェアリングエコノミーとは
シェアリングエコノミーとは、個人や企業が所有しているモノ・スキル・時間などの資産を、オンラインプラットフォームを介して他者と共有し、経済的価値を創出するビジネスモデルです。
このモデルでは、貸し手は遊休資産を活用でき、借り手は必要なときに必要なリソースにアクセスできるというWin-Winの関係が成立します。
シェアリングエコノミーが普及している背景
シェアリングエコノミーの起源は、2008年にアメリカでスタートした民泊仲介サービス「Airbnb」であると言われています。その後、2010年には配車サービス「Uber」も始まり、シェアリングエコノミーは急速に発展・普及していきました。
普及の背景には、インターネット技術の発展があります。オンラインプラットフォームの登場が、貸し手と借り手の間の情報共有やオンライン決済を可能にしました。
また、消費者の嗜好が「モノの所有」から体験価値を重視する「コトの消費」へと移行してきたことも大きな要因です。
日本におけるシェアリングエコノミーの市場規模は、着実に成長しています。一般社団法人シェアリングエコノミー協会と情報通信総合研究所が実施した市場調査によると、2022年度には過去最大規模の2兆6,158億円に達し、2032年度には最大で15兆1,165億円にまで拡大するものと予測されています。
シェアリングエコノミーのビジネスモデル
シェアリングエコノミーは、以下の5つの主要カテゴリーに分類されます。
- 移動手段のシェア
- 空間のシェア
- モノのシェア
- スキルのシェア
- お金のシェア
各カテゴリーの特徴と代表的なサービスを詳しく解説します。
移動手段のシェア
移動手段のシェアには、ライドシェア、カーシェア、サイクルシェアなどがあります。
- ライドシェア:Uberに代表される、個人所有の車両を使用した送迎サービス。日本では、nottecoのような相乗りマッチングサービスも登場しています。
- カーシェア:会員間で自動車を共同利用するサービス。レンタカーとは異なり、短時間での利用も可能です。
- サイクルシェア:専用ポートで自転車を借り、別のポートで返却できるサービス。
空間のシェア
空間のシェアには、民泊サービス、スペースシェア、駐車場シェア、倉庫シェアなどがあります。
- 民泊サービス:Airbnbのように、個人所有の住宅を旅行者に提供するサービス。
- スペースシェア:スペースマーケットのように、パーティールームやワークスペースを短期的に貸し出すサービス。
- 駐車場シェア:アキッパなど、個人所有の駐車スペースを貸し出すサービス。
- 倉庫シェア:WareXのような、遊休倉庫スペースを貸し出すサービス。
モノのシェア
モノのシェアは、主に「売買」と「レンタル」の2つの形態があります。
- 売買型シェアリング:メルカリなどのフリマアプリが該当。個人間で不要なモノを売買し、資源の有効活用を促進します。
- レンタル型シェアリング:airClosetなどの洋服のサブスク・レンタルサービスが該当。モノを所有せずに多様なアイテムを利用できる点が特徴です。
スキルのシェア
スキルのシェアは、「対面型」と「非対面型」に分類されます。
- 対面型スキルシェア:タスカジのような、ハウスキーパーと家事を依頼したい人を結びつける家事代行マッチングサービスや、AsMamaなどの子育てシェアサービスが該当します。
- 非対面型スキルシェア:クラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスが該当。データ入力、ライティング、動画編集、プログラミングといった業務を、企業や個人がスキルを持つ個人に依頼します。
お金のシェア
お金のシェアとしては、CAMPFIREのようなクラウドファンディングサイトが該当します。
プロジェクトを立案した企業家やアーティストなどが、資金を集めるために応援者を募ります。プロジェクトに賛同した人が資金を提供し、プロジェクトを支援する仕組みです。
シェアリングエコノミーのメリット
シェアリングエコノミーは、「利用者」「提供者」「社会」の3つの立場それぞれに異なるメリットをもたらします。各視点から詳しく解説していきます。
利用者にとってのメリット
利用者にとっての主なメリットは、モノを所有せず、必要な時にだけサービスを利用できる点です。モノの購入や管理にかかる費用も発生しません。
また、従来のレンタルサービスに比べて低価格で利用可能なケースが多く、全体的な利用コストも抑えられるでしょう。
クラウドソーシングサービスを介したスキルシェアでは、従業員を雇う代わりにプロジェクトベースで業務を依頼できるため、人件費の削減が期待できます。
提供者にとってのメリット
提供者にとってのメリットは、自分の保有する資産を活用して収入を得られる点です。資産には有形のモノだけでなく、スキルなどの無形資産も含みます。
シェアリングエコノミーのプラットフォームへの登録は手軽で、初期投資も少なく済みます。これにより、余っている資源を有効活用しながら副収入を得ることが可能です。
社会的なメリット
社会全体のメリットとしては、CO2排出量の削減や新たな需要の創出などがあります。シェアリングエコノミーが浸透すれば、大量生産や大量廃棄が減少し、環境負荷の軽減が期待できるでしょう。
また、新しい市場が創出されることで、これまで収益化されてこなかった分野にビジネスチャンスが生まれ、経済活性化が期待できます。
シェアリングエコノミーの注意点
シェアリングエコノミーを利用する際の注意点は、以下の5つです。
- 信頼できる提供者かわからない
- トラブル発生時に責任の所在が曖昧になりやすい
- サービスの質が一定ではない
- 知らない人と一緒にサービスを使う場合がある
- 法整備がされていないサービスがある
それぞれ詳しく解説します。
信頼できる提供者かわからない
シェアリングエコノミーでは、多くの場合個人が提供者となるため、その信頼性が不確かなことがあります。
サービス利用の際は、提供者に関する情報がしっかりと開示されていることや、他のユーザーからの評価が高いかどうかを確認した上で利用するよう心がけてください。
不確かな提供者や評価が低い場合は、別の提供者を探すことをおすすめします。
トラブル発生時に責任の所在が曖昧になりやすい
シェアリングエコノミーでは、トラブル発生時に責任の所在が不明確になることがあります。
例えば民泊として自宅を提供した場合、設備の破損や備品の盗難リスクが考えられます。その際、提供者が「利用者が壊した」と損害賠償を求めたとしても、利用者は「最初から壊れていた」と主張するかもしれません。
このように責任の所在が曖昧であると、提供者と利用者の主張が対立する可能性があります。こうした問題を避けるためにも、利用するシェアリングサービスが明確なルールのもと運営されているか、トラブル予防の仕組みが設けられているかを事前に確認しておきましょう。
サービスの質が一定ではない
シェアリングエコノミーでは、特に個人が提供者である場合、サービスの質にばらつきが生じる可能性があります。企業が提供する標準化されたサービスとは異なり、個人提供者の場合は品質が期待を下回ることもあります。
特に注意が必要なのは、ライドシェアなどの相乗りサービスです。ドライバーのスキル不足が交通事故のリスクを高める可能性があるため、慎重な選択が求められます。
リスク軽減策として、提供者の詳細情報や過去の利用者評価を事前にチェックすることが推奨されます。
知らない人と一緒にサービスを使う場合がある
シェアリングエコノミーの種類によっては、ライドシェアのように提供者と同じ空間で時を過ごすケースがあります。
提供者の情報をあらかじめ確認しておいたとしても、実際に会った時の印象が異なり、戸惑うこともあるかもしれません。
このような状況に不安を感じる方は、非対面型のシェアリングサービスを選択するなど、自身に合ったサービス形態を検討するよう心がけてください。
法整備がされていないサービスがある
シェアリングエコノミーの中には、まだ法整備が進んでいないサービスも存在します。
民泊や相乗りサービスなど、一部の分野では法改正により法的問題が解消されました。しかし、今後さまざまな分野にシェアリングエコノミーが拡大していくと、新たなサービスに法整備が追いつかない場合もあるでしょう。
安全を重視する観点から、少しでも疑問や不安を感じるサービスの利用は避けることをおすすめします。また、サービスの安全性と信頼性を判断する一つの指標として「シェアリングエコノミー認証マーク」の確認が有効です。このマークは、シェアリングエコノミー協会が定めた安全性・信頼性に関するガイドラインに適合したサービスに付与されます。
シェアリングエコノミーの利用を検討する際は、サービスの特性や法的位置づけを把握し、認証マークなどの客観的指標を参考にしながら吟味するよう心がけましょう。
まとめ:シェアリングエコノミーを活用した物流に関するご相談は、ダイワコーポレーションにお任せください
シェアリングエコノミーは、個人や企業の遊休資産を活用して経済的価値を生み出す新たなビジネスモデルとして、注目を集めています。移動手段、空間、モノ、スキル、お金など多様な分野で展開され、利用者、提供者、社会それぞれにメリットをもたらしています。
物流業界においてもシェアリングエコノミーに対する関心は強く、活用の動きが広がりつつある状況です。具体的には倉庫や輸送トラックのシェアリングなど、効率化やコスト削減を目的とした取り組みが進められています。このような動きを取り入れることで、より柔軟で持続可能な物流体制を構築することが可能です。
こうした動きの普及は、配送サービスなどtoC向けサービスと一体になって進めていくことが重要です。その際には安全面・信頼性が課題となるため、デジタルを利用した安全性の担保が重要です。
また、既存の法制度に触れる点も出てくるため、法改正や特区を利用した実験も必要になります。
このように、物流業界におけるシェアリングエコノミーの普及のインパクトは大きいですが、一方で課題もあります。現状を理解した上で、今後の変化を注視していきましょう。
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