発送代行会社の違いはどこに出る?選び方で差がつく比較ポイント

はじめに

EC事業の成長にともない、商品の保管から梱包・配送までを外部に委託する発送代行会社の利用が広がっています。
ただし、発送代行会社ごとに業務範囲や料金体系、システム連携の仕組みは異なり、自社に合わない会社を選ぶと、コスト増や出荷遅延といった問題に直面する恐れがあります。
こうしたミスマッチを避けるには、発送代行会社同士の違いがどこに出るのかを具体的に把握し、比較の軸を持つことが欠かせません。
本記事では、業務範囲・料金・品質管理・物流環境の変化といった観点から、発送代行会社の違いと選び方のポイントを整理していきます。

発送代行会社とは

物流代行・フルフィルメントとの定義の違い

発送代行会社とは、商品の入荷から顧客への配送までの物流業務を事業者に代わって行うサービスを提供する会社です。
一方で、物流代行サービスは、在庫管理や日々の梱包・発送といった煩雑な作業をまとめて委託でき、自社で物流体制を整える手間やコストを削減できる仕組みとして位置付けられています(参照1)。 一方、フルフィルメントという用語は、発送業務だけでなく受注処理や決済代行、カスタマーサポートまでを含む広い概念として使われることがあります。 AmazonのフルフィルメントサービスであるFBA(Fulfillment by Amazon)は、商品の受領・梱包・出荷に加え、カスタマーサービスと返品処理まで一括で対応するサービスです(参照2)。
このように、発送代行と物流代行、フルフィルメントではカバーする業務の幅に違いがあるため、依頼したい作業の範囲を先に洗い出したうえでサービスを比較する必要があります。

EC市場拡大と発送代行需要の背景

発送代行会社への需要は、国内EC市場の成長と密接に結び付いています。
経済産業省の発表によると、2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は26.1兆円に達しました。前年は24.8兆円、前々年は22.7兆円であり、前年比5.1%増と拡大が続いています(参照3)。 取引量が増えるほど、出荷件数も比例して膨らみます。自社だけでこの物量を処理し続けるには、人員・倉庫スペース・配送手段の確保が必要です。 ECモール側もこうした事業者の負担に対応しており、FBAや楽天スーパーロジスティクスのような物流アウトソーシングサービスを備えたECモールも存在します(参照4)。
EC市場の拡大が続く限り、発送代行会社の選定は事業運営の根幹に関わるテーマであり続けます。

業務範囲の違い

入庫・検品・保管・在庫管理の対応幅

発送代行会社の違いが最初に表れるのは、入庫から在庫管理までの対応幅です。
商品を倉庫に受け入れ、数量や状態を確認する検品、適切な温度・湿度で保管する管理体制は、会社によって精度や対応範囲が異なります。
物流代行サービスは、商品の入荷から顧客の手元に届けるまでの物流業務全般を委託できる仕組みですが、すべてのサービスが同じ深さで対応しているわけではありません(参照*1)。
たとえば、食品やコスメのように温度管理が必要な商材を扱うかどうかで、利用できる発送代行会社は絞られます。
自社が扱う商材の特性をもとに、入庫時の検品基準や保管環境の条件を確認し、対応幅を比較することが選定の出発点になります。

ピッキング・梱包・流通加工の深度

倉庫内の保管場所から該当商品を正確に選び出すピッキングと、緩衝材などを用いて丁寧に箱詰めする梱包は、多くの発送代行会社が対応しています。
これに加え、商品の付加価値を高める流通加工に対応するサービスもあり、ギフトラッピングやメッセージカードの同梱、セット組み、ラベル貼り、組み立て作業などを依頼できます(参照1)。 楽天スーパーロジスティクス(RSL)では、ギフトラッピングや販促物の同梱といったカスタマイズにオプションで対応しており、利用店舗からは梱包・配送のレビューが向上したとの声が出ています(参照5)。
流通加工をどこまで任せられるかは、商品の見せ方や顧客体験に直結するため、対応メニューの深度を比較することが欠かせません。

返品・交換・カスタマーサポートの有無

返品・交換処理やカスタマーサポートへの対応は、発送代行会社の違いが鮮明になる領域です。
FBAでは、商品の受領・梱包・出荷だけでなく、カスタマーサービスと返品処理まで一括で対応する仕組みが用意されています(参照*2)。
一方、発送代行会社の中には、返品の受け入れまでは行うものの、カスタマーサポートは対象外とするケースもあります。
返品対応を自社で行うか外部に委託するかによって、必要な人員体制やコストが変わります。
自社のEC事業で返品・交換がどの程度発生するかを把握したうえで、返品対応とカスタマーサポートの有無を比較項目に加えておく必要があります。

料金体系の違い

固定費ゼロ+従量課金型の特徴

発送代行会社の料金体系の違いの一つに、固定費をゼロとし、使った分だけ課金する従量課金型があります。
例えば、初期費用・固定費0円を明示し、個人事業主から大規模事業者まで利用できるサービスも存在します(参照*1)。
固定費がかからないため、出荷量が少ない月のコスト負担を抑えやすい点が特徴です。
ただ一方では、出荷件数が増えると1件あたりの単価が割高になる可能性もあるため、月間の出荷件数の変動幅と従量単価を照らし合わせて試算する作業が欠かせません。

システム利用料+従量課金型の特徴

月額のシステム利用料に加え、出荷件数や保管量に応じた従量課金が発生する料金体系もあります。
保管料を「商品のサイズ×個数×保管日数」で計算するサービスでは、事前に費用を正確に把握できる利点があります(参照*1)。
システム利用料が含まれる分、受注から出荷までの管理機能やレポート機能が充実していることがあります。
また、固定のシステム利用料を毎月支払う形になるため、一定以上の出荷量がある事業者にとってはスケールメリットが出やすくなります。

初期費用込み型と費目別見積もりの比較

発送代行会社の中には、初期費用を含むパッケージ型の料金を設定しているところと、入庫料・保管料・出荷料などを費目ごとに見積もるところがあります。
費目別見積もりの場合、保管量や加工作業の有無によって月ごとの請求額が大きく変動します。初期費用込みのパッケージ型は総額を把握しやすい反面、不要なサービスが含まれていることもあります。
自社で発生する作業の種類と量をリスト化し、各社の見積もり項目を横並びで比較する作業が、コスト面での違いを正確に捉える手段となります。

システム連携と品質管理の違い

ECプラットフォームとのAPI連携範囲

発送代行会社がどのECプラットフォームとシステム間連携(API)できるかは、日常の出荷オペレーションに直結する違いです。
多くの物流代行サービスは、Shopify・楽天・AmazonといったECプラットフォームとのAPI連携に対応しています。
ECサイトで注文が発生すると自動で倉庫に出荷指示が飛ぶため、受注情報を関係者に共有する手間が大幅に削減されます。
また、在庫情報も一元管理でき、どの商品がどのECサイトで何点売れているかを正確に把握できるため、需要予測や仕入れ計画の精度向上にも寄与します(参照1)。 さらに、物流の効率化に向けた自動化や標準化の必要性も示されています。 国土交通省は、荷主・物流事業者等の関係者の連携・協働を円滑にするための環境整備として、ソフト面およびハード面の標準化を推進する各種施策に取り組んでいます(参照6)。
自社が利用しているECモールやカートシステムが連携対象に含まれているかどうかを、契約前に一覧で確認しておく必要があります。

誤出荷率・出荷スピードなどKPI水準

誤出荷率や出荷スピードといった品質指標は、発送代行会社ごとに違いが出やすい項目です。
出荷の締め時間や当日出荷の可否は、顧客へのリードタイムに直結します。
誤出荷率についても、各社が公表している数値や、契約時に提示されるサービスレベルの基準をもとに比較できます。

物流環境の変化と選定への影響

2024年問題と配送コスト上昇

発送代行会社の選定に影響を与える外部環境として、物流の2024年問題があります。
消費者庁は、2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限規制が適用されることにより、何も対策を講じなければ2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力が不足する可能性があると説明しています(参照7)。 日本のトラック輸送産業は市場規模が約20兆円にのぼり、産業活動や国民生活に不可欠な存在です。 2024年4月からの上限規制と改正改善基準告示の適用にともない、安定した物流を維持するため、政府を挙げた取り組みが加速しています(参照8)。

拠点網・分散出荷によるリスクヘッジ

輸送力の制約が強まるなかで、複数の拠点から出荷できる体制の有無も発送代行会社の違いとして確認すべき点です。
多数物流拠点のあるサービスを利用すれば、在庫を分散させ、顧客に最も近い拠点から出荷する体制が整えられるため、配送リードタイムの短縮が実現します。
加えて、災害時に特定エリアの物流が止まった場合のリスクヘッジにもなります(参照*1)。
拠点が1カ所しかないサービスの場合、その拠点と顧客の距離が遠いほど配送日数が延び、運賃も上がりやすくなります。
自社の顧客がどのエリアに集中しているかを分析し、拠点の所在地や分散出荷への対応力を比較項目に加える作業が、将来のリスクを減らす判断材料となります。

失敗しない選び方と判断基準

事業フェーズ別の優先チェック項目

発送代行会社を選ぶ際は、自社の事業フェーズに合わせて目的を明確にすることが求められます。
複数のECモールの出荷を自動化したいのか、受注処理や決済代行、カスタマーサポートまで含めて委託したいのか、全国の顧客へスピーディーに商品を届けられる体制を築きたいのか、それぞれの目的によって選ぶべきサービスは変わります(参照*1)。
また、立ち上げ期であれば固定費を抑えられる料金体系、成長期であればAPI連携の幅や出荷キャパシティ、安定期であれば流通加工やカスタマーサポートの充実度といったように、フェーズごとに優先すべき項目は異なります。事業計画と照らし合わせながら、どの要素を最優先にするかを決めたうえで発送代行会社を比較する手順が必要です。

見落としやすい注意点と失敗例

発送代行会社の選定では、見落としやすい点がいくつかあります。物流効率化の取り組み状況に関する調査では、その必要性は認識しているものの「取り組めていない」が15.6%、「何をすればいいか分からない」が19.9%と、合わせて35.4%の企業が物流効率化に向けて十分に動けていない状況が明らかになっています(参照9)。 また、物流の現場では、荷役時間と荷待ち時間が平均でそれぞれ1時間半程度を占めており、パレットを用いた機械荷役にすれば荷役時間を半減できるとの指摘もあります(参照10)。
発送代行会社を選ぶ際に料金だけを見て決めてしまうと、倉庫内の作業効率や配送の仕組みに起因する遅延が発生することがあります。
料金に加え、倉庫内オペレーションの自動化状況や、配送までの一連の流れがどう設計されているかを確認する工程を省かないことが大切です。

おわりに

発送代行会社の違いは、業務範囲・料金体系・システム連携・品質管理・拠点網といった複数の軸にわたって表れます。EC市場の拡大や物流の2024年問題を背景に、これらの比較ポイントを一つずつ確認する作業が、適切なパートナー選びの土台となります。

参照

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