配送会社の違いと選び方とは?料金・得意分野で比較しコスト削減

配送コストを削減するためには、単純に運賃の安い配送会社を選ぶのではなく、自社の荷物特性や配送先に応じて最適な配送サービスを組み合わせることが重要です。小型荷物や個人向け配送、法人向けの大量発送、重量物輸送など、それぞれの配送会社には異なる強みがあります。さらに、複数社を用途別に使い分けながら、送り状管理のデジタル化や物流KPIの可視化を進めることで、配送品質を維持しながら継続的なコスト改善が可能になります。
EC市場の拡大に伴い、宅配便の取扱個数は年間約50億個に達しています。配送コストは事業の収益を左右する大きな要素ですが、配送会社ごとに料金体系や得意分野が異なるため、自社に合った配送会社を選ばなければ無駄なコストが生じかねません。
配送会社の違いを正しく把握し、荷物の大きさや届け先、配送方法に応じて使い分けることが、コスト削減と配送品質の両立につながります。本記事では、主要配送会社の特徴から料金の計算方法、選び方の判断基準、さらに複数社を使い分けるための実務手法まで順を追って解説します。
配送会社選びが重要な背景

EC市場拡大と宅配便取扱個数の推移
EC市場の拡大により、配送会社の選び方は経営に直結します。経済産業省の調査によると、2024年度のEC市場規模は全体で26兆1,000億円に達し、このうち物販系分野は15兆2,000億円です。この市場拡大に伴い、宅配便の取扱個数は2024年度で約50億個にのぼっています(参照*1)。取扱個数が増えるほど再配達による非効率も課題となります。国土交通省の宅配便の再配達率調査によると、宅配便の個数のうち約8.3%が再配達になっています(参照*2)。荷物量が増え続ける中で、どの配送会社のどのサービスを使うかによって、配送効率やコスト構造が大きく変わります。こうした市場環境を踏まえると、配送会社の違いを理解したうえで選定することが、これまで以上に求められています。
2024年問題とドライバー不足の影響
物流業界では、ドライバーの確保が長期的な課題となっています。国土交通省は、運輸業では今後も就業者の高齢化と若年者の入職減少が見込まれ、中長期的な担い手の確保・育成が喫緊の課題であるとしています。これに「2024年問題」やエネルギー・資材の物価高といった社会情勢の変化が重なり、生活に必要な身近なサービスの維持・存続が危ぶまれる状況です(参照*3)。2024年度からトラックドライバーに年960時間の時間外労働の上限規制が適用されたことを受け、国土交通省はトラック事業者の労働条件改善を図るための「標準的な運賃」の仕組みを導入しました。この制度は、2018年の貨物自動車運送事業法の改正に基づくものです(参照*4)。ドライバー不足と運賃上昇が同時に進む環境下では、自社の荷物特性に合った配送会社を選び、限られた輸送力を効率よく使うことがコスト管理の前提条件となります。
主要配送会社の特徴と得意分野

ヤマト運輸:小口・個人向けの強み
ヤマト運輸は、全国に行き渡るネットワークによるスピード配送と、細かい指定が可能な時間指定配送が大きな特徴です。法人契約ではネコポスによるポスト投函や宅急便コンパクトも活用でき、単価の安い定期便やサブスク商品の発送にも適しています。さらに、B2クラウドなどの送り状管理システムとの連携が可能で、ECのバックエンド業務との相性が良い点も強みです(参照*5)。また、個人・小口の配送に強いとされており、小型の荷物を全国に届けるBtoC用途で選ばれるケースが多いです(参照*6)。受取人の利便性を重視するEC事業者にとっては、時間指定やポスト投函など受け取り方の選択肢が多い点が実務上のメリットになります。
佐川急便:法人・大量発送向けの強み
佐川急便は、全国に営業所を配置しており、迅速な配達に対応できます。時間帯指定サービスに加え、多様な荷姿やサイズに柔軟に対応できる点が特徴です。大量発送や大口顧客に強く、荷物量に応じた料金交渉が可能なため、コスト削減に向いています(参照*5)。また、法人・多口の配送に強みがあるとされ、出荷量が多い事業者ほどボリュームディスカウントの恩恵を受けやすいです(参照*6)。ECで大量に出荷する事業者や、複数拠点から定期的に発送する法人にとっては、料金交渉の余地が大きい点が選定時の判断材料となります。
日本郵便:郵便インフラと小型配送
日本郵便は、配送業者の中で営業所数が最も多く、全国の郵便局ネットワークを活用できる点が大きな強みです。荷物の持ち込みによる割引があり、郵便局で送り状を印刷できるため、個人や小規模事業者にとっても利用しやすい仕組みが整っています。発送者側から荷物の追跡を行うことも可能です(参照*7)。日本郵便のゆうパックは、レターパックなどのポスト投函サービスとあわせて、小型荷物の配送や書類の全国発送に適しています。受取人が不在でも届けられるポスト投函型のサービスは、再配達を減らしたい場合にも有効な選択肢です。拠点数の多さを生かし、持ち込み割引を活用すれば1個あたりの配送コストを抑えることもできます。
西濃運輸・福山通運:BtoB路線便
西濃運輸は、商業貨物(法人向け)の路線便輸送に圧倒的な強みを持つ配送会社です。複数の荷主の荷物を積み合わせる「路線便」の仕組みを確立しており、全国の拠点ネットワークと幹線輸送能力が特徴です。この仕組みにより、効率的で安価な企業間物流を実現しています(参照*6)。福山通運もBtoBの配送に定評があり、路線便(幹線輸送)を軸にしたコスト設計に優れています。法人間取引で定期的に商品を出荷するような業態では、高いコストパフォーマンスを発揮します(参照*5)。大型・重量物の配送を必要とする企業や、定期的に全国の取引先へ出荷する製造業・卸売業にとっては、路線便を得意とするこれらの配送会社が有力な選択肢となります。
料金体系の違いと計算方法

宅配便:サイズ×配送先エリア基準
宅配便の料金は、荷物の大きさ(縦・横・高さの合計サイズ)と配送先の地域によって決まります。ヤマト運輸の場合、合計サイズと配送地域の組み合わせで料金が設定されており、宅急便センター・取扱店・コンビニエンスストアへ直接持ち込むと1個につき100円の割引が適用されます(参照*7)。
主要3社の料金を同一条件で比較すると、60cm以下の荷物は日本郵便のゆうパック990円、ヤマト運輸の宅急便1,060円(2kg)、佐川急便の飛脚宅配便1,040円(2kg)です。60cm超80cm以下ではゆうパック1,310円、宅急便1,350円(5kg)、飛脚宅配便1,340円(5kg)となり、80cm超100cm以下ではゆうパック1,620円、宅急便1,650円(10kg)、飛脚宅配便1,630円(10kg)です(参照*8)。ここで示したサイズ帯ではゆうパックが最も安く、宅急便と飛脚宅配便はほぼ同水準であることが分かります。ただし、法人契約による割引やボリュームディスカウントの適用により、実際の支払額はこの定価から変動するため、自社の出荷量と主力商品のサイズ帯をもとに見積もりを取ることが大切です。
路線便:距離×重量基準と標準的運賃
BtoB向けの路線便は、宅配便とは異なり、「距離×重量」を基準に料金が算出される輸送サービスです。正式名称は「特別積み合わせ貨物運送」といい、決まった路線(ルート)や物流拠点を経由しながら、複数の荷主の荷物を1台のトラックに積み合わせて配送します。
小口貨物を低コストで全国へ配送したい場合に適しており、トラックを貸し切るチャーター便と比べて安価に利用できることが特徴です。
また、国土交通省では、運輸局ごとに一般貨物自動車運送の標準的な運賃の目安として距離制運賃表を公表しています。距離や輸送に使用する車両の大きさによって運賃は変動し、例えば関東運輸局の運賃表では10km輸送した場合の運賃は、小型車(2t)が15,790円、中型車(4t)が18,190円、大型車(10t)が23,060円、トレーラー(20t)が29,070円となっています。輸送距離が20kmになると、小型車17,710円、中型車20,430円、大型車26,110円、トレーラー33,160円へと上昇します(参照*4)。
さらに、運賃表自体も改定が行われています。燃料費の基準を120円に変更し、燃料サーチャージの基準価格も120円に設定したうえで、平均約8%の運賃引き上げが実施されました(参照*9)。路線便を利用する場合は、車両サイズと輸送距離の掛け合わせだけでなく、燃料サーチャージや運賃改定の動向も踏まえてコストを試算する必要があります。宅配便の「サイズ×エリア」とは計算の仕組み自体が異なるため、BtoBで大量の荷物を輸送する場合は路線便の料金構造を別途理解しておくことが欠かせません。
配送方法の違いと補償内容
対面配達とポスト投函の使い分け
配送方法は大きく「対面配達」と「ポスト投函」の2つに分かれ、届ける荷物の特性によって適切な方法が異なります。メール便は小型の荷物を低コスト・ポスト投函で手軽に送りたい場合に適しており、宅配便は大きい荷物や高価なものを手渡しで送りたい場合に向いています。宅配便は冷蔵・冷凍品の配送にも対応しているほか、メール便に比べて補償が手厚く、高価なものや精密機器の配送にも使われます(参照*10)。ネコポスやレターパックといったポスト投函サービスは、受取人が不在でも届けられる点がメリットです。宅配便はトラック輸送が中心で、大型・重量物や精密機器の配送に強みがあり、郵便(ゆうパック)は信書や書類、小型荷物の全国発送に適しています(参照*11)。対面で確実に届ける必要がある荷物か、受取人の不在リスクを避けたい小型荷物かによって、配送方法を使い分けることがコストと顧客満足の両面で効果的です。
補償・追跡サービスの比較
配送会社を選ぶ際には、料金だけでなく補償と追跡サービスの有無も確認する必要があります。定形外郵便物ははがきと同じ扱いのため、追跡サービスがなく補償もつきません。送り先に届いたことを確実に確認したい場合や、高価な品物を送る場合は、追跡サービスと補償のあるゆうパックや、他の配送会社の補償つきサービスを選ぶことが推奨されています(参照*8)。
宅配便は対面で受け渡しを行うため、配達完了の記録が残り、万が一の破損や紛失に対する補償が付帯するのが一般的です。一方、ポスト投函型のサービスは低コストで利用できる反面、補償の範囲が限られます。扱う商品の単価や破損リスクに応じて、追跡と補償の手厚さを判断基準に加えることで、トラブル発生時の損害を最小限に抑えられます。
配送会社の選び方と判断基準

BtoC向け:荷姿・受取利便性で選ぶ
BtoC向けの配送では、日時指定や置き配など、受取人にとっての受け取りやすさが重視されます。誰に届けるかによって選ぶべき配送方法や業者が変わるため、届け先が個人消費者であれば受取利便性を軸に配送会社を選定するのが基本です(参照*5)。選定の出発点は、自社商品のサイズと重量の把握です。主力商品の梱包後のサイズ(三辺合計)や梱包後の重量、1回の注文で購入される点数の違い、同梱した場合のサイズ帯を集計しておくと、60サイズがメインなのか、80サイズ・100サイズが多いのか、メール便や薄型パッケージを活用できそうかといった「送料設計のベース」が見えてきます(参照*12)。自社の荷姿と顧客の受け取り環境を照らし合わせることで、どの配送会社のどのサービスが最もフィットするかを絞り込めます。
BtoB向け:重量・距離・納品条件で選ぶ
BtoB向けの配送では、パレット納品や積み下ろし対応、チャーター手配など、取引先のルールに沿った対応が求められます。BtoCのように受け取りやすさよりも、納品先の指定条件に合致しているかどうかが選定の基準です(参照*5)。届け先と業態によって最適なルートとコストは異なります。たとえば、商業施設への全国配送では、近隣県は西濃運輸、遠方地はヤマト運輸・佐川急便を利用する混合配送という方法もあり、コストとリードタイム、届け先の希望に準じた配送方法を組み合わせることが可能です(参照*6)。重量・距離・納品条件の3つを軸に、路線便と宅配便を比較検討し、必要であれば複数社を組み合わせて最適化を図るのがBtoBにおける選び方の基本となります。
複数社使い分けとDXによる最適化
用途別に配送会社を切り分ける手法
配送会社は一社に絞る必要はなく、用途別に複数社を使い分けるのが実務ではよく使われる手法です。たとえば、定期的な小型便には日本郵便やヤマト運輸のネコポス、ECでの大量発送には佐川急便の飛脚宅配便、割れ物やクール品にはヤマト運輸の宅急便、重量物や大型品には佐川急便・西濃運輸・福山通運など法人特化型の配送会社が適しています(参照*5)。出荷数が増えてきた段階では、特約契約や料金交渉を検討し、サイズ・エリア・サービスによってメインの配送会社とサブの配送会社を使い分けることも視野に入れるべきです(参照*12)。複数社の使い分けにより、各配送会社の得意分野を生かしながらコストの最適化を進められます。ただし、配送会社が増えるほど送り状の発行や配送状況の管理が煩雑になるため、運用を支える仕組みの整備が不可欠です。
送り状管理・物流KPIの可視化
複数の配送会社を使い分ける場合、送り状の一元管理が業務効率化の鍵となります。ヤマト運輸のB2クラウドのように、送り状管理システムとECバックエンドを連携できるサービスを活用すれば、配送会社ごとに送り状を個別発行する手間を削減できます(参照*5)。さらに、法人契約時には物流KPIとして平均配達日数・再配達率・破損率などの定期レポートを配送会社から受け取り、物流品質を可視化して改善につなげることも可能です(参照*5)。送り状管理のデジタル化とKPIの定期的な確認を組み合わせることで、どの配送会社・どのサービスにコストや品質の課題があるかを数値で把握でき、配送会社の見直しや料金交渉をデータに基づいて進められるようになります。
おわりに
配送会社にはそれぞれ得意分野と料金体系に明確な違いがあり、荷物のサイズ・届け先・配送方法・補償の要否を基準に選ぶことで、無駄なコストを抑えられます。BtoCでは受取利便性とサイズ帯、BtoBでは重量・距離・納品条件を軸に判断することが選び方の基本です。
さらに、複数の配送会社を用途別に使い分け、送り状管理や物流KPIの可視化といったDXの取り組みを進めることで、配送コストと品質の継続的な改善が可能になります。まずは自社の主力商品のサイズと出荷量を整理し、各配送会社から見積もりを取得するところから始めるとよいでしょう。
ご不明な点、より詳しく知りたい方は弊社までお問い合わせください。
参照
- (*1) https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html
- (*2) 国土交通省 – 国土交通省|報道資料|令和7年10月の宅配便の再配達率は約8.3%
- (*3) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001895678.pdf
- (*4) ツギノジダイ – トラックの標準的運賃の告示、2024年6月から平均8%引き上げ 国交省
- (*5) 【全国19拠点】倉庫・物流センターのアウトソーシングなら|株式会社eサービス – 【全国19拠点】倉庫・物流センターのアウトソーシングなら|株式会社eサービス
- (*6) 東京から発送する。ロジスティック&アッセンブリの伴走支援企業|株式会社美翔 | 省力化や業務のスマート化が加速しており、商品保管~発送のアウトソーシングニーズは高まっています!東京都に2拠点、千葉県に1拠点を構えるBISHO(美翔)は多品種・小ロットなど柔軟にお応えし、流通加工→仕分・セット梱包→発送代行そして在庫保管まで一貫して対応しています。持続可能なビジネスでBPOご要望にお応えする伴走支援カンパニー。 – 価格、スピード、安心感、何を重視する? 物流のプロが教える宅配便3社の選び方
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- (*8) 請求書の基礎知識|マネーフォワード クラウド請求書 – ダンボールの郵便料金・送料はいくら?主要3社の料金を比較
- (*9) https://ssl.aitokyo.jp/wp/wp-content/uploads/2024/05/2.%E9%81%8B%E8%B3%83%E7%B4%84%E6%AC%BE%E8%AA%AC%E6%98%8E%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%88R6.5.27%E4%B8%AD%E9%83%A8%E9%81%8B%E8%BC%B8%E5%B1%80%EF%BC%89.pdf
- (*10) 大和紙工株式会社 – メール便とは?違いと選び方を徹底解説
- (*11) 赤帽壱丸運送 – 宅配便とは何かの解説と比較!宅急便や郵便との違い・業者別サービス料金・選び方ガイド | メディア | 東京都渋谷区で配送・引っ越しなら確かな実績を持つ赤帽壱丸運送
- (*12) 配送プラットフォーム「ピックゴー」 – EC事業者の配送料金完全ガイド|主要5社宅配料金比較とECの送料戦略・コスト削減のコツ




