EC物流代行とは?業界の最新情報から委託業者の選び方まで解説

「ECサイトを始めることとなったが、どうしたらいいかわからない」「どのような代行業者を選べばいいのか教えて欲しい」「限られた予算で運営をしなければならず負担が重い」といった悩みを抱えている企業担当者に対して、最新のEC業界の動向と、EC物流代行業者の探し方、活用方法を解説いたします。

EC市場の現状

ネット通販(EC)市場は年々拡大を続けており、2022年度の消費者向けネット通販(BtoC-EC)の市場規模は22.7兆円と前年比で9.9%の伸びを達成しました。
また、個人間の電子商取引(CtoC-EC)の市場規模は2.3兆円を超えており、メルカリ等の消費者同士が自ら物流業務を行い商品のやりとりを行うことも一般的になってきています。

物販系分野では「食品・飲料・酒類」と「化粧品・医薬品」が市場規模もEC化率も大幅に増加しており、メーカー・生産者が直販に取り組んだり、ふるさと納税等新たな販路が拡大するなど、追い風が吹いている状況となっています。

また、特にサービス系ECの分野はコロナ明けもあり、旅行サービスやチケットサービスなどが大幅に伸び、物販分野では書籍、映像・音楽ソフトのEC化率が50%を超え、ECが主力の販売チャネルへと変わってきています。
注目分野は家具・インテリアで、市場規模はあまり拡大していないもののEC化率は平均を上回っており、サイズや質感など、実物を確認して買うのが一般的だった商品群も、新たな見せ方、物流サービスの出現で大幅にEC市場が拡大する可能性があります。

EC業界の最新の動き

次にEC運営会社がどのようなチャネルを使い販売を行っているかを見てみましょう。
2022年現在で国内のEC運営者数は455万サイトあるといわれており、こちらも売上同様前年比で9%の伸びを示しています。
ECの販売チャネルはAmazonや楽天、ZOZOTOWNなどのモールショップに出店する方法と、自社でサイトを構築して販売する方法がありますが、今年はモール出店者数伸び率が-4%と前年割れし、モール以外の出店者数が17%も増える事態が起こりました。

また、増加したチャネルの大半はBASEやSTORESといった無料でECサイトを開設できる「インスタントEC」となっています。

なぜ、モールへ出店するのではなく、ここへきてこれほどまでに自らサイトを立ち上げるECサイト運営者が増えたのでしょうか?

現在のビジネスにおいて、ECサイトは自社の商品を売るための「新たな販路」としての役割だけでなく、世界中へ自社の商品の情報を発信するための「メディア」であったり、反応を見るための「テスト」や「リサーチ機能」であったり、一般消費者とダイレクトにつながるための「コミュニケーション手段」であったりとさまざまな役割を期待されています。

ECという販売形態は商品を取り扱う会社にとって、もはや避けては通れない販売手段であり、インスタグラムやXといったSNSを使ったWEBマーケティングの窓口的な機能として、商品説明に加えてEC販売ができるように、各社としてもまずはEC販売ができるよう体制を整える、という流れが出てきているのではないでしょうか。

現在のEC物流の課題と対策

このような動きの中、現時点でのEC物流にはどのような課題があるのでしょうか?
現在、私どもには以下のようなお問合せを頂くことが多くなっています。

1.1つの拠点で現取引(BtoB)とEC対応(BtoC)を行いたい

ECを新たな販路としてスタートするにあたり、最初は小規模でトライアルをしながら、軌道に乗ってきたら徐々に機能を強化していきたい、と考える企業様が増えています。
しかし、現在取引している物流委託先ですと「バラ出荷対応が難しい」「サイト上の在庫数量表示に対応できない」、などと断られ、別に委託業者を探さざるを得ない場合があります。
別業者、別拠点での対応となりますと当然にコストは割高になり、複数拠点での商品の期限管理などで担当者の業務負荷が重くなってしまいます。

2.複数のモール出荷の並行対応をしたい

複数のモールサイトやTV・ラジオ通販などに出品しつつ自社サイトも立ち上げて運営をしている会社様も多くいらっしゃいますが、商品出荷の他にノベルティや期間限定のプレゼントといった商品以外の同梱物などを封入するといった、マーケティング連動の対応が発生することがあります。
商品以外のノベルティやプレゼントなどの同梱物はバーコードなどがないことが多く、これらの数量確認や梱包作業を人海戦術で対応している現場が多くあります。

3.ポップアップショップや直営店の並行対応を行いたい

宣伝広告費を大きく使い拡販は出来ないが、集客力のある施設などでポップアップショップを展開し、反応を見つつ拡販を進めたい、という運営会社様も昨今増えております。しかし、この実物販売のために必要な資機材の準備と管理、現地までの輸配送、会場での作業要員の手配を現在の委託先業者ができず、実際に行おうとすると非常に煩雑で二の足を踏む会社が多くあります。

4.価格を安くするために一括大量に仕入れをしたい

魅力的な商品を海外で発掘して仕入れようとする際、輸送費がかなり高額になるため、できるだけまとめて一括で仕入をしたい、というご要望が大変多くあります。しかし、現在の業務委託先から「コンテナ入荷品のデバンニング・保管対応は出来ません」と言われるケースも多くなっています。
多くのEC物流代行業者でスペースを潤沢に持っている会社は少なく、コンテナ荷受けと保管だけを別の倉庫で対応し、出荷倉庫に転送対応している会社も少なからずあります。

5.配送の見直しについて相談したい

宅配事業者からの値上げの頻度が増え、値上げ率についても一律ではなく地域やサイズごとに細かく設定がなされ、リードタイム延長や配送頻度が減ったり、配達できない地域の増加などが徐々に増えてきており、対応に苦慮している運営会社様も増えております。
このような状況なのに、配送面では情報が入らず打つ手なし、と感じている方が増えて来ています。特に配送面での情報と、今後も引き続きサービスを維持し提供できるのかについて相談したい、というお客様は増加しています。

委託業者の選び方と選定のポイント

以上のような課題が出てきている中、売るだけではない役割も担うECサイト運営において、物流はどのような役割を担えばいいのでしょうか?

これまで「EC物流代行サービス」とは、企業がオンライン販売で商品を売る際、商品の保管や発送、ささげ(採寸・撮影・原稿作成)や流通加工などの物流作業を外部の専門会社に頼むことでしたが、ECサイトの運営目的が多様化している現在は、サービスメニューの種類や費用の高低だけでなく、自社のECサイトの現在地と運営目的を再確認してパートナーを探すことが必要となってきています。

委託業者の選び方のポイントは以下の通りです。

①ECで何をしたいかの整理と確認

まずはECで何をしたいかを整理しましょう。これからビジネスをスタートさせる、という状況でも、扱う商品の情報と売上目標があれば、EC物流代行業者であれば、どれぐらいの物流体制が必要かを提案できるものです。
自社にマッチしたサービスを見つけるために、まずはECで何をしたいかを箇条書きで大丈夫なので書き出して整理しておきましょう。

②委託会社の探索

委託業者を探す際はネットで情報を収集することがファーストステップと思いますが、①で整理した情報を検索ワードに入れ、検索をしてみましょう。いくつかの候補企業が出てきたら、各社が提供するサービスが自社がしてほしいニーズと合致しているか確認します。また会社概要やミッション、対応実績などがあれば確認し、その会社の考え方、実績や評判を調査し、信頼性を確認します。同じ内容で問合せをして、レスポンスの内容を確認することも効果的です。

③対応可能な商材や業態

自社製品を預けるにあたって、必要な設備やノウハウが候補企業にあるのか、取り扱っている商材や、対応業態を確認します。例えば、温度管理が必要な商品を取り扱うにあたり、定温庫や冷蔵庫などの設備や、化粧品の取扱いなどで必要な製造業許可などの取扱免許、危険物など特殊な商品や流通加工を必要とする場合、それに対応できる設備や資格、スタッフがいるかを確認します。

④運用システム・現場運営技術

EC物流のオペレーションには専用の物流管理システムが必要です。
代行業者が持つ物流システムの内容や機能を確認しましょう。また、自社要望に対応できる機能があるのかをしっかり確認・質問をして、効率的な業務運用ができるかを判断します。また、情報セキュリティ対応がしっかりしているかも確認しておきましょう。
現場運営については機器や現地環境のほか、業務上の品質を担保できる仕組みがあるのか、ISOなどの認証の品質有無や業務マニュアルの有無なども確認しておきましょう。
あと、EC代行事業者で多いのが、営業倉庫免許を取得していない会社が多いことです。営業倉庫を取得している会社は火災保険の付保が義務付けられており、万が一の際にしっかりとした保証がありますが、代行業者の中にはコスト抑制のため必要十分な保険をかけていない場合もありますので、契約前に火災保険や商品保険がかかっているか確認しましょう。

⑤拠点の位置とキャパシティ

候補企業の拠点が顧客に近い場所にあるかどうかを考慮します。 ECの納品先の45%は関東の一都三県に集中しているといわれており、このエリア内にある拠点であれば、配送費を抑えリードタイムも短く設定でき、売り時を逃さずに済む可能性が高くなります。また、自分たちのやりたいことに対応できるスペースを持っている、または手配が可能かも確認しましょう。

⑥柔軟性と拡張性

代行業者が将来的な自社の成長や変化に対応できる柔軟性を持っているか確認します。
新商品の追加や需要の増減への対応のほか、自社のビジネス、商品が持つ特性や取扱いを理解した上で柔軟に対応できるかどうかを確認の上、パートナー選定の際に考慮しましょう。

⑦カスタマーサポートとコミュニケーション

候補企業とのコミュニケーションが円滑かどうかを確認し、仕入れ先、納品先のお客様からの問い合わせ対応やトラブル時のサポート体制を確認します。

⑧コストと料金体系

候補企業の料金体系を理解し、自社の予算と合致するか確認します。
入出荷・保管・配送料のほか、検品・流通加工料やシステム利用料などの細かな費用も考慮しましょう。

⑨契約条件とスケジュール

契約条件やサービス提供スケジュールを明確に確認しましょう。納期遵守や違約時の対応などを含めて、契約内容をよく理解します。

まとめ

ECは消費者にとって商品購入の手段としてすっかり定着し、さまざまな商品情報やキャンペーン、サービスをECサイトから得ることがあたりまえとなりました。今後は技術の進化・環境の変化により、さらに多様なサービスが生まれてくることが予想されます。
商品を扱う企業にとっては、新たな販路としてECに対応しないことは考えられない時代ですが、すべての商品販売がECで出来るかどうかはまだ見えない状況であり、既存の販売体制を維持しつつ、どのようにECを活用していくかの試行錯誤がしばらくは続きます。

ダイワコーポレーションでは東京湾岸沿いを中心に倉庫拠点を展開しており、お客様のご要望やご予算に合わせ、EC物流の代行業務を行っております。

モールECと自社サイトの同時対応はもとより、BtoB/BtoC並行稼働、リアル店舗出荷とECサイトの同時運営・ポップアップショップ等催事対応や、それらの必要資機材の調達・管理など、さまざまな対応実績がございます。

EC物流運営をどうしていけば良いのかお悩みの企業様はお気軽にお問合せください。

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