物流コストとは?内訳・物流コスト比率・削減方法を解説

物流コストは、物流業務にかかる費用の総称です。物流コストの高騰は企業の収益に大きな影響を与えるため、コスト削減は重要課題となります。削減のためには、物流コストの内訳や増大する原因について、正しい知識を身につけることが必要です。

この記事では、物流コストの概要、内訳、比率に加えて、物流コストを増大させる原因や削減方法について解説します。物流コストに関する理解を深め、削減する際の参考にしてください。

物流コストとは

物流コストとは、物流業務において発生する費用の総称です。物流コストを削減するためには、その実態の正確な把握が求められます。

物流コストは、支払い形態によって以下の2つに分類されます。

  • 自家物流コスト(社内物流コスト):

自社内で物流業務を行う際に発生するコストです。人件費、倉庫に関わる維持費、物流管理システムの導入費・運営費などが該当します。自社でトラックを保有している場合は、車両購入費・維持費・燃料費なども含まれます。

社内の業務コストであるため、物流コスト以外の費用として計上されることがあり、実態を把握しにくいコストです。物流コスト削減のためには、ほかの支出と区別して把握する必要があります。

  • 支払い物流コスト:

物流業務を外部委託する際に支払うコストです。トラック、鉄道、船舶、航空機などの運賃、倉庫の賃借料、梱包などにかかる流通加工費などが該当します。

請求書や領収書を通じて金額が把握しやすいため、削減する際に手をつけやすいコストです。

また、物流プロセスから以下の3つに分類することも可能です。

  • 調達物流費:原材料の調達にかかるコスト
  • 社内物流費:社内における物流業務にかかるコスト
  • 販売物流費:商品の販売時の発送にかかるコスト

物流コストの内訳

自社における物流コストの現状を正確に把握するためには、その内訳を理解する必要があります。物流機能別に分類した物流コストの内訳は、以下の4つです。

  • 輸送・運送費
  • 荷役費・包装費
  • 保管費
  • 物流管理費

それぞれについて解説します。

輸送・運送費

輸送・運送費は、物を運ぶ際にかかる物流コストです。運送業者に支払う運賃、自社トラックを利用する場合の車両購入費・維持費・燃料費、航空便や船便の運賃などが該当します。

一般的には、物流コストの中でも最も多くを占めるコストです。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が公表している「2023年度物流コスト調査報告書(概要版)」によると、物流コストのうち57.6%を占めています。

荷役費・包装費

荷役費は、入荷作業と出荷作業の際にかかるコストです。倉庫での入荷・出荷時におけるトラックの積み下ろし作業費、荷物のピッキング作業費などが該当します。

包装費は、出荷時の商品の梱包にかかるコストです。ダンボール箱の購入費やパッキングによる梱包費、シールやタグ付けにかかる材料費・作業費などが含まれます。

荷役費・包装費は作業量が多くなるほどコストが増大するため、作業効率化がコスト削減のポイントです。

前述したJILSの調査報告書によると、荷役費・包装費・物流管理費の合計は物流コストのうち26.0%を占めています。

保管費

保管費は、商品を取引先に納品するまでの間に発生する保管コストです。倉庫の賃借料、自社倉庫の維持費、商品保管中の維持・管理費などが該当します。

保管を外部委託する場合と自社で保管する場合とでは、かかるコストが異なります。商品の保管時には品質の保持に加えて、数量管理も必要です。

JILSの調査報告書によると、保管費は物流コストのうち16.4%を占めています。

物流管理費

物流管理費は、物流を管理するためにかかるコストです。物流管理に関わる人件費、物流管理システムの導入費・運営費などが該当します。

物流担当者の人件費は物流管理費に含まれますが、物流関係の企画や分析業務に関わるスタッフの人件費は含まれません。物流コストの正確な把握のためには、物流コスト以外の人件費との明確な区別が求められます。

物流コスト比率とは

物流コスト比率とは、売上全体に占める物流コストの割合を指します。物流コストの削減を目指す際には、物流コスト比率を把握することが大切です。

売り上げが増えても物流コストが比例して増大してしまうと、利益率は改善されません。そのため、物流コスト比率を意識した取り組みが重要となります。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会が公表している「2023年度物流コスト調査報告書(概要版)」によると、売上高物流コスト比率、すなわち物流コスト比率は5.00%(全業種平均)でした。

物流コスト比率は、2021年度までは増加傾向にあり5.70%に達したものの、2022年度は5.31%、2023年度は5.00%と下降しています。この背景には、売上高の増加があると考えられています。

物流コスト比率を把握し、削減すべきポイントを明確にして物流コスト削減を目指しましょう。

物流コストを増大させる原因

物流コストを増大させる原因は、燃料価格の上昇、ドライバー不足、小ロット多頻度輸送の増加、2024年問題による人件費の増加、人的ミスの発生などです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

燃料価格の上昇

不安定な世界情勢を背景とした燃料価格の高騰で、輸送・運送費が上昇しています。長期的に見ても、石油価格は上昇傾向にあると考えられています。

今後もガソリン代などが上がり続け、物流コストの増大につながることが予想されます。

ドライバー不足

少子高齢化による労働力不足と労働環境の厳しさから、ドライバー不足が顕著です。若い世代の参入が少なく、ドライバーの高齢化も進んでいるため、不足状態は今後も続くものと考えられています。

一方、EC利用の増大にともない輸送需要自体は増加傾向です。需要に応じるためには賃金を上げてでもドライバーを確保する必要があり、結果として人件費の増加および物流コストの増大が発生します。

小ロット多頻度輸送の増加

EC需要が増えるにつれて、小ロット輸送や多頻度輸送のニーズが高まっています。そうすると今度はトラックの荷台に空きスペースが生じ、積載効率の低下が懸念されるようになりました。

積載効率の低下は業務負担の増大や輸送効率の低下を引き起こし、結果として物流コストの増加を招きます。

2024年問題による人件費の増加

2024年問題とは、ドライバーの時間外労働時間に年間960時間の上限制限が適用されることから生じる問題です。

2024年問題が物流コストに与える影響は、以下の2点です。

  • ドライバーの基本給の上昇:

労働時間の制限により、ドライバーの収入減少が懸念されます。雇用を維持するために基本給を上げる必要が出てくるでしょう。

また、時間外労働の割増賃金率も引き上げられるため、残業代の支払い増加も考えられます。

  • 物流企業による運賃の値上げ:

ドライバーの労働時間が短くなることで物流企業の売上・利益が減少するため、運賃が上がる可能性があります。ドライバーの基本給アップも運賃の値上げに影響を及ぼします。

上記2点の影響により、物流コストの上昇が懸念されています。

人的ミスの発生

ピッキングミスや誤配送などが多発すると、顧客からのクレームが増え、その後処理に多大な手間と時間が費やされるため業務効率が低下し、結果的に物流コストが増大します。

このような人的ミスは、ツールの導入やルールの改善で防げることがあるため、最小限に留める対策を行いましょう。

物流コストの削減方法

物流コストを削減する方法は、主に以下の4つです。

  • 物流拠点を集約する
  • 倉庫管理システムを導入する
  • 業務をアウトソーシングする
  • 倉庫内作業ルールを策定する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

物流拠点を集約する

物流拠点が複数に分散していると、拠点ごとに保管費や物流管理費などが発生するため、物流コストが増大します。物流拠点を集約することで、これらのコストを削減できる可能性があります。

ただし、物流拠点の減少により配送先までの距離が長くなる場合、輸送・運送費が増大する可能性が懸念されます。

コストの増加分と減少分を考慮したうえで、物流拠点の集約を検討することが重要です。

倉庫管理システムを導入する

物流管理業務においては、商品の品質と数量を正確に管理することが必要です。余剰在庫や欠品、商品品質の低下はコストを増大させます。また、人による管理では、人的ミスの発生を完全には防げません。

倉庫管理システムを導入することで、人的ミスを防止し、業務の効率化が図れます。物流管理に関わるデータを収集・分析することで、物流コストの無駄を発見し、さらなる削減に取り組むことも可能です。

業務をアウトソーシングする

物流業務を専門業者にアウトソーシングすることで、物流コストを削減できます。物流業務全般または一部を委託することが可能で、業者によっては物流システムの構築も請け負います。

自社で倉庫を保有する必要がなくなるため、閑散期における倉庫利用率の低下などの無駄を省き、コスト削減が期待できるでしょう。

また、アウトソーシングにより物流コストの内訳が明確になり、業務改善に取り組みやすくなるメリットもあります。

倉庫内作業ルールを策定する

倉庫内作業ルールを策定することで、作業効率を向上させられます。ルールに沿って商品を管理すれば、あるべき場所に正確な数量の商品が保管され、入出庫業務がスムーズに行えるでしょう。

策定したルールは常に見直しを行い、動線やレイアウトの最適化に取り組むことが重要です。

まとめ:物流コストについてのご相談はダイワコーポレーションにお任せください

物流コストを削減する方法には、「物流拠点の集約」「倉庫管理システムの導入」「業務のアウトソーシング」「倉庫内作業ルールの策定」などがあります。物流コストを削減するためには、専門家への相談がおすすめです。

ダイワコーポレーションは、創業以来70年以上にわたり、さまざまな物流課題の解決に取り組んできた物流倉庫業のプロフェッショナルです。

積み重ねてきたノウハウを活かした物流業務の効率化・DX化により、物流コスト削減をサポートいたします。ぜひ気軽にご相談ください。

お役立ち情報一覧にもどる

ダイワコーポレーションのことをもっと知る