置き配とは?メリット・デメリットやトラブル対策について解説!

最近では、不在時にも商品を受け取れる「置き配」が普及しています。便利な一方でトラブルが発生したケースもあるため、利用する際には注意が必要です。

この記事では、置き配の概念、注目されている背景、EC事業者・配送業者・購入者それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

置き配に関連するトラブルとその対策、置き配以外の受取方法についても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

置き配とは

置き配とは、受取人があらかじめ指定した場所に荷物を置く配達方法です。玄関先や宅配ボックスなどを配達場所に指定することで、非対面で不在時にも荷物を届けられる点が特徴です。

郵便受け・宅配ボックスシェアサービスを提供する株式会社ナスタが実施した「置き配に関する実態調査(2023年)」によると、置き配の利用率は年々増加傾向にあります。例えば、2019年10月の調査では26.8%であった利用率が、2023年11月には約2.5倍の67.3%まで拡大しています。

また、MMD研究所の「ECサイトの配送に関する調査(2021年)」では、18〜69歳の男女4,373人を対象とした置き配の認知率を調査し、全体の85.6%が置き配を「知っている」または「名前だけ聞いたことがある」と回答しました。

EC購入者にとっては、不在時にはもちろんのこと、在宅時でも自分のタイミングで荷物を受け取れる点が置き配のメリットです。また、受け取る場所を指定できるという利便性もあります。

置き配は受取人の不在時にも荷物を配達できることから、受取人だけでなく、配達業者にとってもメリットの大きい配達方法といえます。

置き配が注目されている背景

EC市場の拡大に伴い、宅配便の取扱個数が増加しています。特にコロナ禍では非対面受け取りサービスの需要が高まり、その後もライフスタイルの多様化が置き配の需要をさらに促進しています。

また、物流業界ではドライバー不足が深刻化しているため、再配達の削減が重要な課題の一つです。置き配であれば受取人の不在時にも荷物を届けられるため、再配達の手間が発生しません。

【EC事業者側】置き配のメリット

EC事業者にとっての置き配のメリットは、以下の2点です。

  • 顧客満足度が向上する
  • 他社との差別化につながる

それぞれについて解説します。

顧客満足度が向上する

EC利用者に置き配サービスを提供することで、商品受け取り時の利便性が向上し、顧客満足度の向上が期待できます。

置き配であれば、仕事で日中自宅にいない人でも荷物が受け取り可能です。また、受け取り指定時間に縛られたくない人や、非対面での受け取りを希望する人にも置き配は適しています。

置き配を選択肢の1つに加えることで、顧客それぞれのニーズに対応しやすくなるため、新規顧客の獲得も期待できます。

他社との差別化につながる

自社が置き配を導入し、他のEC事業者が導入していない場合は、置き配サービスが顧客にとって大きな魅力に映ることでしょう。

この差別化が、売上向上に寄与することが期待されます。置き配の導入は、EC事業者がECサイト利用者に自社の優位性をアピールできる要素の1つです。

【配送業者側】置き配のメリット

配送業者にとっての置き配のメリットは、以下の2点です。

  • 再配達が減る
  • 配送が効率化する

それぞれについて解説します。

再配達が減る

置き配により、配達が一度で完了します。再配達の削減は、配送業者にとって大きなメリットです。配達時間のロス削減、トラックの燃料消費の軽減、そして配達業務の効率化につながります。

ドライバー不足や時間外労働の規制によって生じる2024年問題が懸念されているなか、再配達の減少は輸送力不足の解消に貢献します。

配送が効率化する

物流量の増加と労働力不足が進むなか、配送業務の効率化は配送業者の課題の一つです。

置き配を利用することで、受取人が在宅していた場合でも、対面での受け渡しにかかる時間を削減できます。この効率化は、配送業者にとって大きなメリットになるでしょう。

置き配のデメリット

置き配のデメリットは以下の3つです。

  • 誤配送のリスクがある
  • 盗難にあう可能性がある
  • 汚損・破損することがある

それぞれ詳しく解説します。

誤配送のリスクがある

対面配達では、受取人が送り先の名前などを確認できるため、誤配送を防ぐことが可能です。一方、置き配は非対面の配送であるため、名前の確認が行われず、誤配送のリスクが生じます。

誤配送が発生した場合、荷物を正しい送り先に配送する必要があります。これには時間と手間がかかり、顧客満足度が低下する可能性もあるでしょう。

誤配送による影響を最小化するためには、EC事業者と購入者間で、あらかじめ誤配送時の対応を明確にしておくことが重要です。

また、誤配送の防止のため、宛名をわかりやすく記載するなどの対策も効果的です。

盗難にあう可能性がある

在宅時の置き配であればすぐに荷物を回収できるものの、不在時の置き配は受け取りまでに時間がかかることから、荷物が盗難にあうリスクが存在します。

屋外に荷物が置かれている時間が長いほど盗難の可能性が高まるため、見えにくい場所を配達場所に指定したり、宅配ボックスを活用したりしましょう。

また、EC事業者や配送業者が、配達時間の事前通知や配達完了の通知といったサービスを導入することで、盗難リスクを軽減できます。

汚損・破損することがある

置き配の場所によっては、荷物が雨で濡れたり、風で飛ばされたり、泥が跳ねて汚れたりすることがあります。

汚れるだけではなく、荷物が落下して破損する可能性もゼロではありません。荷物の形状や配達時の天候を考慮して、適切な置き配場所を選ぶことが重要です。

EC事業者側の対策としては、商品が汚れにくい梱包をすることで、汚損をある程度防げます。

置き配に対応している配送業者

以上のように、置き配を導入する事業者にはさまざまなメリット・デメリットが存在します。それでは次に、実際に置き配に対応している配送業者の実例を見ていきましょう。ここでは、以下の3社を取り上げます。

  • 日本郵便
  • ヤマト運輸
  • 佐川急便

それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。

日本郵便

日本郵便では、以下の荷物が置き配の対象です。

置き配対象郵便物
・郵便受箱または差入口に入らないゆうメール
・ゆうパケットおよび郵便物
・ゆうパック、レターパックプラス
・国際郵便物

なお、受取人の宅配ボックスが施錠できることに加えて、受領証発行機能を備えたロッカー型の場合、あるいはアンカー等で躯体等に固定されている場合は、以下の荷物も置き配の対象としています。

  • 書留郵便物など(国際書留郵便物を含む)
  • セキュリティサービスを付与したゆうパック

置き配の利用条件は、次の通りです。

  • 受取人の住所内の場所であること
  • 郵便物が外部から確認しにくく、事故のおそれがない場所であること
  • 雨などで汚損するおそれがない場所であること

また、置き配を利用する受取人には、Web経由での申請か、配達郵便局への「指定場所配達に関する依頼書」の提出を求めています。ただし、宅配ボックスや玄関前鍵付容器を設置している場合は、依頼書を提出したものとみなされ、受取人の不在時に置き配が適用されます。

ヤマト運輸

ヤマト運輸では、「クロネコメンバーズ」の会員を対象とし、宅急便と宅急便コンパクトの受け取り時に置き配が利用可能です。

ヤマト運輸の置き配サービスは、以下のように指定場所が豊富な点が特長です。

置き配の指定場所
・玄関ドア前
・宅配ボックス
・ガスメーターボックス
・物置
・車庫
・自転車のかご
・建物内受付、管理人預け

対応ECサイトで商品を購入した場合

ヤマト運輸の場合、提携しているECサイトで注文した商品も「置き配」で受け取れるとしています。

置き配に対応しているECサイトの一例
・Amazon
・ニッセン
・アンダーアーマー
・ZOZOTOWN
・LOHACO
・ユニクロ
・メルカリ、など

佐川急便

佐川急便では、同社と個別契約を結んでいる事業者を対象に「指定場所配送サービス」という置き配サービスを提供しています。

対象となる荷物は、以下の通りです。

  • 飛脚宅配便
  • 飛脚航空便
  • 飛脚ジャストタイム便

また、2024年9月2日からは、佐川急便Webサービスのスマートクラブ会員を対象に、より多くのユーザーが置き配を利用できるようになる予定とされています。

対象となる荷物は、以下の通りです。

  • 飛脚宅配便
  • 飛脚ラージサイズ宅配便
  • 飛脚航空便

置き配サービスを提供しているEC事業者

置き配に対応している事業者は配送業者だけではありません。以下の2つのEC事業者も置き配に対応しています。

  • Amazon
  • 楽天市場

それぞれについて解説します。

Amazon

Amazonでは、商品購入時に置き配オプションが表示されるようになっており、場所を指定することで置き配を利用可能としています。

ただし、以下の場合には受取人は置き配を利用できません。

  • 置き配の対象エリア外
  • 郵便受けに投函可能な包装で発送された商品(メール便を含む)
  • 一部エリアのAmazonフレッシュでの注文
  • 提携ネットスーパーでの注文(ライフ、バロー、成城石井)
  • 一定の金額または重さを超えている商品

楽天市場

楽天市場では、日本郵便の置き配サービスを利用できるようにしています。

ただし、以下の場合において受取人は置き配を利用できません。

  • 置き配に対応していないショップでの注文
  • ゆうパック以外の荷物
  • 代金引換、着払いによる注文

出店しているショップが独自に置き配の利用に制限を設けている場合があるため、事前に確認が必要です。

置き配で発生しやすいトラブルへの対策

置き配で発生するトラブルへの対策は、主に以下の2つです。

  • 受取人に宅配ボックスや防犯カメラを設置してもらう
  • EC事業者として盗難時の対応を決めておく

それぞれ詳しく解説します。

受取人に宅配ボックスや防犯カメラを設置してもらう

屋外に荷物が置かれると、盗難、汚損、破損のリスクが生じます。受取人に宅配ボックスを設置してもらうことで、荷物を安全に保管し、受け取ってもらうことが可能です。

また、置き配の指定場所を撮影する防犯カメラを設置してもらうことで、盗難発生時にも記録が取れ、荷物を取り戻すための有力な証拠が得られる可能性があります。「防犯カメラ作動中」と掲示することで、盗難を抑止する効果も期待できるでしょう。

ただし、宅配ボックスや防犯カメラの設置を呼びかけることはできても、設置するかどうかは受取人次第であり、実際に盗難、汚損、破損が発生した場合まで想定しないと事業者の対策としては不十分と言えます。

EC事業者として盗難時の対応を決めておく

したがって、より重要なのは実際に盗難が発生した場合に、EC事業者としてどのような対応を取るか事前に決めておくこと、と言えます。 

基本的に運送会社は置き配の盗難に関して対応しないケースが多いため、購入者に保険に加入してもらうという対策が考えられます。

また、運送会社を選定する場合に、できるだけ盗難のリスクが少ないサービスを利用することも重要です。 

置き配以外のおすすめ受け取り方法

置き配で発生するトラブルを防ぐためには、置き配以外の受け取り方法を受取人に提供することも重要です。置き配以外のおすすめ受け取り方法として、以下の2つが挙げられます。

  • 受け取り拠点での商品引き渡し
  • 事前配達通知や受取方法指定サービスを利用してもらう

それぞれ詳しくみていきましょう。

受け取り拠点での商品引き渡し

配送会社の営業所や郵便局留めでの受け取りは、以前からある確実な受け取り方法です。

近年では、コンビニエンスストアや駅、スーパーなどに設置された宅配便ロッカー「PUDOステーション」などでも受け取れます。ただし、冷蔵品や冷凍品など特定の商品には対応していません。

受け取り拠点で商品を引き渡せれば、置き配で起こりうる盗難被害も防止できるでしょう。

事前配達通知や受取方法指定サービスを利用してもらう

ヤマト運輸のクロネコメンバーズに登録すると、アプリやLINEなどでお届け予定日時の通知を受け取れます。都合が悪い場合には、受け取り日や時間帯、場所を商品購入者が変更できるため、よりスムーズに荷物を届けられるでしょう。

また、配送時刻を1時間単位で指定できるネットスーパーのサービスもあります。一部地域においてのみ対応しているケースが多いものの、今後の拡大が予想されます。

まとめ:「置き配」「置き配のトラブル対策」「置き配以外の受け取り方法」などのご相談はダイワコーポレーションにお任せください

置き配は、EC事業者にとって顧客満足度の向上や差別化をもたらすメリットがあります。また、配送業者にとっては再配達の削減や配送の効率化が、購入者にとっては利便性の向上や非対面での受け取りがメリットです。

ただし、置き配ではトラブルが発生することもあるため、デメリットを理解し、置き配以外の受け取り方法を検討することも欠かせません。

ダイワコーポレーションは、創業以来、70年以上にわたって1,000社を超えるお客様をサポートしてきた物流倉庫業のプロフェッショナルです。EC事業者として最新の配送サービスの情報を得たい、あるいは配送手段や品質、価格などにお悩みの荷主様はお気軽にダイワにご相談ください。

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